ご縁があり、「一般社団法人 イマココラボ」さんが展開している、
「2030 SDGs」というカードゲームをプレーさせて頂いたので、
体験会の様子やら、そこで得られた学びなどを書き綴っていきます。
そもそもSDGsって?
(写真引用元:国連広報センター)
「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったもの。
日本語訳すると「持続可能な開発目標」。
国連加盟国が一丸となって、
2015年から2030年までの間に、
17の目標と、それらを細分化した169のターゲットを定め、
「現在の要求を満たしつつ」、「未来の世代を犠牲にしない」開発をやっていきましょう、
というスローガンです。
この記事ではSDGsそのものについては、あまり掘り下げません。
詳しく知りたい方は国連広報センターのページなどを参考に、色々調べてみてね。
というのも、今回体験したカードゲームにおいて、
SDGsはあくまで「世界観設定」「フレーバーテキスト」だったな、
という印象が強かったからです。
「2030 SDGs」とは、どのようなゲームなのか
ゲームのゴールとしては、・世界状況のパラメータを向上させつつ
・個々人に課せられた目標をクリアする
というものです。
プレイヤーは「世界」の住人となります。
今回の体験会では、参加者12名+ファシリテーター2名だったため、
2つの「世界」に分かれてゲームを進行しました。
各世界には、住人が6名と、ゲームマスター(ファシリテーター)が1名。
ゲーム開始の準備の段階で、住人には次のカードが配布されます。
・お金:400G(100Gで1単位)
・時間:15枚
・プロジェクト:5枚
・人生の目標(ゴール条件):1枚
「プロジェクト」「人生の目標」は、住人によって異なります。
(おそらくファシリテーターが札の組み合わせをあらかじめ決めた山を作っておき、
その山を参加者へランダムに配布する、といった進行です)
私の初期手札は以下の通り。写真映り悪いな……
私の「人生の目標」は「貧困撲滅の聖者」。
ゴール条件は「ゲーム終了時に、『青の意思』を10枚以上保持していること」。
(『◯の意思』カードは、プロジェクトを遂行(後述)すると手に入ります)
住人の手札のほか、ゲームを構成する要素として「世界の状況」というパラメータがあります。
「経済(青)」「環境(緑)」「社会(黄)」それぞれのパラメータの初期値は3。
プレイヤーがゲーム中に取る行動としては以下の通り。
・ゲームマスターに対し、プロジェクトカードを渡す
・その際、併せてプロジェクトを遂行するのに必要なリソース(時間・お金)を必要量渡す
・ゲームマスターは「世界の状況」パラメータを参照し、そのプロジェクトが実行可能か判定する
・プロジェクトが実行可能であるとき、ゲームマスターは住人に対し報酬を渡す
(報酬:プロジェクト、意思、お金、時間(遂行するプロジェクトにより渡すものが決まる))
・「世界の状況」パラメータを、遂行したプロジェクトに応じて変動させる
例えば、「こどもを労働力として利用する」というプロジェクトを実行するとき。
・このプロジェクトは「世界の状況」パラメータの影響を受けずに遂行できる
・遂行するために「お金:300」「時間:1」のリソースを支払う
・プロジェクト達成時、以下の報酬を得る
「お金:500」「時間:3」「青のプロジェクト」「青の意思」
・プロジェクト遂行により、「世界の状況」パラメータに次の変動を与える
「青+1」「黄-2」
こんな感じで、
プロジェクトを遂行することで手札と「世界の状況」に変化を与え、
はじめに配られた「人生の目標」に記載のゴールに近付ける、
という進行をしていきます。
プロジェクトを遂行するにあたり、住人間で実行順を決めたりはしていません。
むしろ、刻々と変わる「世界の状況」パラメータの煽りを受け、
「手札のプロジェクトカード、何も実行できない!」といった事態も、
プレイヤーによっては発生します。
このゲーム、「住人間の交渉」が出来ます。
例えば、実行したいプロジェクトが手札にあるが、
それを遂行するためにはお金のリソースが足りていない。なんてときに、
他の住人に対して、お金を融通してもらえないか、といった働きかけが可能です。
(もちろん、相談を持ちかけられた住人が承諾するかは別問題ですが)
ゲームのプレイ時間としては、30分間。
この日は、前半11分、中間報告2分、後半17分の時間配分でした。
実際に遊んでみました
というわけで、ゲームスタートです。私の場合、手持ちのプロジェクトを遂行すればするほど「お金」も「青の意思」も手に入る、
といった状況だったため、特に他のプレイヤーと交渉の必要なく、超高速で状況が進行しました。
その結果、「青の意思を10枚保持する」というゴール条件を、前半戦のうちにクリア。
そうなると、自然と「他の住人のゴール達成状況」や「世界の状況」に目が向きます。
というか、このプレイングが災いしてか、中間報告時点の「世界の状況」パラメータが
経済(青):3→19
環境(緑):3→0
社会(黄):3→5
といった具合になり、
「経済は超バブリーだけど自然は死に絶え、人々の権利は侵害されまくっている」
という、まさに世紀末な「世界」が出来上がっていました。
住人個別の「人生の目標」の達成状況も、6人中3人しかゴール条件を満たしておらず。
そんな状況で後半戦開始。
前半戦でボロ儲けしたおかげで資金が潤沢だったこともあり、
目標未クリアな他の住人に対してお金を融通したり、
「世界の状況」パラメータが好転するプロジェクトを優先的に実行したりとしていき。
ゲーム終了時点での「世界の状況」パラメータ。
経済(青):3→19→17
環境(緑):3→0→10
社会(黄):3→5→13
「環境」「社会」が驚異的な改善を見せました。
住人個別の「人生の目標」達成状況も、6人中5人がクリア。
ただ一人、目標未達に終わった住人の「人生の目標」。
それは「ゲーム終了時に『時間』のカードを15枚以上保持していること」だった……
(ゲーム終了時点で、6人分のリソースをかき集めても『時間』のカードは10枚に満たなかった)
この体験会のキモとなる「振り返り」の時間
さて、今回の体験会においては、2つの「世界」が同時並行でゲーム進行していました。いずれの世界も、「人生の目標」の配布の構成は変わらず。
ですが、「もう一方の世界」では、6人全員が「人生の目標」を達成し、
「世界の状況」のパラメータも、中間時点・最終時点ともにバランス良く伸びるという、
「こちらの世界」とは異なった進行を見せていたようです。
いったい、どこでこの差が生まれてしまったのか。
今回の体験会での振り返りの時間は、そこにフォーカスを当てました。
(ちなみに、この「振り返りの時間」の使い方は、ファシリテーターにより異なるようで、
他の体験会だと、本題のSDGsに寄せたフィードバックになったりするそうです)
[Aの世界(私が所属していた世界)]
・はじめは個々人がそれぞれの目標に向かって動いていた
・後半戦になってから、全体への呼びかけが発生しはじめた
[Bの世界(同時並行で進行していた世界)]
・はじめから住人の中にリーダー的な存在がいた
・全員が全員の事情(人生の目標)を把握していたため、融通し合うことができた
印象的だったのは、Bの世界の「『時間』のカードを15枚以上保持」がゴール条件の住人の動き。
この方はゲーム開始時点で、自身がゴール条件を満たしていることに気付いたため、
その他の「プロジェクト」「お金」といったカードは、
それを必要とする他の住人に、なんの見返りも無く渡していた、とのこと。
結果、ゲーム終了時点では『時間』のカード以外は何も持っていなかったとか。
こうした振る舞いにより「誰が何を必要としているのか」といった目配りの意識が住人感に芽生え、
全員が全体の状況を把握しながらゲームの進行を出来た、と言えるでしょう。
体験会の、その先をどうするか
さて、個人的には楽しかったです。体験会。ただ、この日の内容だと、ゲームを通じて交渉術やら観察眼やら、
リーダーシップやらを養うことはできても、
「じゃあSDGsの達成に向けて自分は今後どう動く?」
といったストーリーを描けなかったのが、正直なところです。
「うきはでも同じようなワークショップ出来たらいいなぁ」と思う反面、
「これをこのままやったところで、参加者にどのような変化や気付きが起こればいいんだろう」とも思ったり。
今回、ゲーム開始前にSDGsについて概論の解説があったのですが、
印象的だったのが、この取り組みは貧困・飢餓・衛生といった対途上国だけの問題では無く、
例えば労働者の働き方の問題だったり、持続可能な都市づくりの問題だったりと、
自分の手の届く範囲の課題とも、繋がるものがあるということ。
じゃあ今、
自分の半径数メートルの世界にどんな課題があって、
どんなアプローチでの解決が考えられて、
そのためには誰を巻き込んで、何を成し遂げて、どのように効果を測って。
そういったビジョンを、同じ課題意識を持つ人たちと、どうやって共有していって。
そうした戦略を立てられる場なり、土壌なりが必要なんだろうな。
まだまだ自分では、地域のイシューもリソースもポテンシャルもわからなくて。
そこを紐解いていくのが、喫緊の課題だよなぁと感じつつ。
もっともっと、地域に深く入り込まねば。